経済同友会が今年の3月になかなかいい提言をしている。 「農業の将来を切り拓く構造改革の加速」と題するもの。そんなに長くはないが、日本の農業の抱える問題点をきっちり指摘していると思う。これに対しては農 業団体の御用学者からいろいろ反論があるが、それについては、明日以降、いかにトンチンカンな反論であるかを個別に吟味していきたいと思う。まず同友会の 提言を添付します。
040308.pdf
全文はPDFで読んで頂きたいが、要点のみを抜き書きしてみる。
いかにもその通りじゃないか。最後のくだりなんか、痛快だね。
やる気のない農家や、それに寄生して何ら生産的な活動に寄与していない引きこもり「農村オタク」たちを、この際、徹底的に駆除しないと、日本は本当に駄目になる。
全文はPDFで読んで頂きたいが、要点のみを抜き書きしてみる。
- 旧 農業基本法の下での農業政策は、生活水準の農工間格差の是正を目標に国内農業を保護し続けてきた。こうした保護政策は、構造改革を遅らせ、農地の集約、作 物の高付加価値化、専門性の追求、生産性の向上といった努力を妨げる結果につながった。日本経済が低成長時代を迎えた今日、競争力の弱い農業は、消費者に も、財政にとっても大きな負担となっている。
- 国際社会に目を向けると、グローバリゼーションが進展するなかで、農産物についても自由貿易を求める傾向が強まっている。わが国は、WTO交渉 や、近年、積極的に推進しているFTA交渉においても、農業問題が障害になり交渉の主導権を握れずにいる。農業構造改革の遅れによって、国益を失い、国際 社会から孤立しかねない厳しい立場に立たされている。
- わが国農業の生産性は、先進国の中でも著しく低い。その背景には、北海道を除く農家1戸当りの経営耕地面積は1.2haに留まり、経営規模の拡大 が殆ど進んでいないことなどがある。農家1戸当りの耕地面積は、米国の1/123、イギリスの1/42、フランス1/26、ドイツの1/23と小さい。加 えて、専業農家の割合は、全農家戸数298万戸の20%に過ぎない。なお、農家の総所得784万円のうち農業所得は僅か102万円で13%であり、農家は 収入の大部分を他産業に依存しているのが実態である。
- これまでの農業政策は、農家を一律に保護してきたため経営規模の拡大や専門性の深化が殆ど進まず、第2種兼業農家や零細農家を温存させたことで、農業全体の生産性向上を阻むという問題を抱えている。
- 今日の農業にとって最も大切なことは、イノベーションを実現する体質を培養することである。食料自給の改善や農村社会の安定に留意しながら、市場メカニズムの活用や大規模営農の推進など産業的な手法を積極的に取り入れ、これを梃子に強い農業を早期に確立すべきである。
- 多くの産業が自由競争と市場開放を通して国際競争力を高めてきたように、農業についても、市場メカニズムの活用を政策運営の基本とし、事業者の創意工夫を刺激して競争力を強化する方策をとるべきである。
- 法人による経営は、事業の継続や拡大などの面で、個人経営より優位性がある。経営規模を拡大し、専門性を追求するためにも、法人による農業経営を 強い農業の中核的な担い手として位置付けるべきである。現在の専業農家または第1種兼業農家が主として法人の経営者として活躍することは十分可能である。 農業従事者は、法人による雇用によって、収入の安定・有給休暇制度の導入・福利厚生の充実など労働条件の向上が期待できる。
- 農業の競争力を強化するためには、多様な経営体の参入を促進する必要がある。特に、株式会社は、資金調達の多様化が可能であり、これまで蓄積して きたコストダウン、ロジスティックス、マーケティングなどの経営手法を農業経営の高度化に活用すれば大きな成果が期待できる。さらに、研究開発などによる 新たな価値創造の可能性も広がる。現在の農業生産法人の要件は、株式会社等の参入を著しく制限している。まず、経営のリーダーシップと専門性を発揮するた めに、構成員要件として定められている総議決権の規制と、役員要件として定められている農作業の従事にかかわる規制を撤廃すべきである。
- 農業の現場では、法人が関係する農地の賃借も日常的に行われており、農地法の理念である耕作者主義は、既に限界に来ている。農地法は、法人による 農地の借用・所有を促進するものへと改正する必要がある。農地は、再生産可能な産業のインフラであり、効率的かつ長期的に活用する経営体へと移転・集約さ せていくことが望ましい。そのためには、農地の「中間保有・再配分」機能を持つ農地保有合理化法人が、農地の買入れ・借入れ、売渡し・貸付けにおいて、よ り積極的な役割を果たしていく必要がある。また、農地集約と法人の借用・所有を促進する視点から、農地に関する税制の見直しを検討する必要がある。
- 現在、株式会社等による農業経営は、特区における農地リース方式が認められているが、これを直ちに全国展開するとともに、株式会社による農地所有についても、早期に解禁するべきである。
- 株式会社等による農地の所有を認めると、途中で農業を放棄し農地を他目的に利用するという批判がある。こうした事態には、公的機関等が農地の利用 状況を監視し、農業目的外への転用に対しては原状回復させ、また、農業関係者以外への転売に対しては強制収用するなど、農地利用の事後チェック体制を確立 することで十分対応可能である。
- 一部の国内農産物は、国境措置や価格支持政策によって高価格になっている。このような措置は市場を歪めることになるので、政策のスタンスを国際的 に批判の高い価格支持からWTOでも容認されている直接支払へと転換するべきである。これは農業保護の負担が消費者から納税者へと転嫁されることを意味す る。しかし、直接支払は市場価格の引き下げ圧力として作用することを考えれば、農産物の国内価格が低下し、その結果、新たな需要の喚起も期待できる。
- 構造改革の加速と市場の開放に伴って、持続可能な農業を担い得る経営体までもが淘汰されないように政策的な対応が必要である。生産性向上に積極的 に取り組んでいる一定規模以上の経営体を対象に所得補償制度を導入することで、より強い経営体の育成を図る必要がある。所得補償制度は激変緩和に対応する ための時限的措置であり、これに要する財源は現在の農林水産関係予算を見直すことで捻出し、将来的には縮減していくべきである。
- わが国の農業が国際的に見て比較劣位に止まっているのは、政治、行政を始め農業関係者による農業を産業として確立するためのイノベーションが遅れ たためである。我々が期待するものは、自ら将来を切り拓く気概をもって新たな農業に挑戦する事業者であり、それを支援する農業政策である。強い農業を確立 できるかどうかは、まさに、能力とやる気のある次代を担う世代が改革へのリーダーシップを発揮し、政治と行政が競争力強化に不可欠な環境を整備できるかど うかに係っている。
いかにもその通りじゃないか。最後のくだりなんか、痛快だね。
やる気のない農家や、それに寄生して何ら生産的な活動に寄与していない引きこもり「農村オタク」たちを、この際、徹底的に駆除しないと、日本は本当に駄目になる。
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